一番問題なのは介護の問題
在宅で最後までご本人の生活をきちんと支えるという介護の問題は大きな課題です。
介護の問題については、介護スタッフがきちんと看取りまでやれるようになるためには、大きな問題点がたくさんあると思います。介護保険によるヘルパーや医療保険による訪問看護のサービスを利用しても、それらは、生活の中で点でしかありません。その点のサービスを線で結ぶのはご家族です。いくらサービスを利用しても、ご家族の不安や負担は大きなものがあると思います。在宅で最期まで過ごしたいと考えておられる方には、ご家族を始め、本人を取り巻く医療・介護チームの連携を密にすることが一番大事だと考えています。
家で看取る場合の利点
家族としての自分の役割がある(父親・母親・祖父母・娘・息子などとして)
生活の場で治療を行うことができる
QOLの向上 ※1
生活のリズムが自由で自然に過ごせる
最期まで自分らしく生活できる
病院とは違い家族が好きな時間に顔を見たり、話すことができる
住み慣れた家で家族と一緒に最期を迎えられる
病院よりも費用がかからない。
※1 QOL(キューオーエル)/クオリティーオブライフ Quality Of Life
人生の内容の質や社会的にみた生活の質のこと。つまりある人がどれだけ人間らしい生活や自分らしい生活を送り、人生に幸福を見出しているか、ということを尺度としてとらえる概念である。
家で看取る場合の問題点
医療者が近くにいないため不安がある
吸引などの医療行為を家族が行わなければならないこともある
家族に精神的にも肉体的にも負担が掛かってしまう
家族の息抜きの時間がとりにくい
介護が長期化すると介護者が疲れる
医療者が臨終に立ち会えないことがある
容態変化に合わせて訪問を随時調整する必要がある。
仮に電話で緊急呼び出ししても、到着まで時間がかかる。
その意味で在宅では本当の意味での緊急対応はできない。待つ覚悟が必要。
家族、介護者がそれを理解しある程度自力で対処できる必要がある。
病院死の場合の利点
医療者が近くにいるので安心できる
24時間体制で看護してもらえる
容態の変化に対してすばやく対応してもらえる
最期まで諦めずに治療を行っているという実感がある。
病院死の場合の問題点
家族との時間がとりにくい(家族がいつでも面会することができない)
自宅とは違い好きなように生活することができない
自分も家族も医療者に対する遠慮がある
病院の規則や時間に拘束されるので不自由がある
天井を見て過ごすことが多い。
最期の時に家族がそばにいられず、医療者が周りにいることになることが多い
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